続こんぶの日記 KOMBU's diary from Sydney

フローレンス・ナイチンゲール その2

2010年5月25日(火)つづき


ナイチンゲール博物館では、彼女の生涯を遺品などを中心に紹介、説明していた。ナイチンゲールを有名にしたのは、クリミア戦争である。クリミア戦争へのナース派遣要請を受けたナイチンゲールは、これまで社会的地位が確立していなかったナースの存在を、イギリス社会に知らしめる良い機会だと捉えたという。38名の勇気あるナースたちと現地に赴いたナイチンゲールは、兵士の高い死亡率を下げること、負傷した兵士を一番良い状態で母国に帰還させることに焦点を当てた。

彼女は、アルコールとドラッグが兵士の高い死亡率に寄与していると問題を把握し、彼らがお金をそれらに使う代わりに、母国に送金できるシステムを整えたり、読書をしたり、家族に手紙を書く図書館を設立したりした。そうすることで、兵士たちのアルコール中毒とそれに関する疾病の割合は、大幅に低下したという。

また、The Times のジャーナリストを介して衛生物資を国に要請したりしたのは、ロンドンのお上に要請を無視されないためだった。彼女の献身的な取り組みで、兵士の死亡率は90%も低下したという。また、彼女は、統計学の先駆者としても有名である。極端なメモ魔で、膨大な記録や記述を残し、それを分析し死亡率や罹患率の統計を出した。彼女は、統計を出すことで「神様の御心が読める」と語っていたという。

また同時に彼女は、フェミニズムの思想ももちあわせていた。当時の女性の地位を嘆き、家父長制(patriarchy)と家族制度に、早々に反発の意を表している。ナイチンゲールが看護の発展に力を注いだのは、家父長を筆頭とする家族から、女性を解放するためでもあったという見解(*)がある。

一方、そのナースが1世紀にも渡って、医師をトップとしたヒエラルキー下におかれている現象は、何とも皮肉である。博物館に設置されたビデオで、セントトーマス病院の現ナースが、「現在でも世界中でナースの地位は、医師を筆頭にした“家父長制”に支配されたままであるー。ナースは、そこから独立する時である。」と語っていた。

ナイチンゲール没後から100年あまり、今の看護界の現状を、彼女は天国からどのように“分析”しているのだろうか。いつの日か、あって聞いてみたいものだ。


*フローレンス・ナイチンゲール著 真理の探究 マイケルDカラブリア他編著 小林章夫監訳 うぶすな書房 2005年.



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by gonzalesK | 2010-06-18 20:44 | Holidays

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