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続こんぶの日記 KOMBU's diary from Sydney

シドニーのあたたかい人たち

2010 年11月30日(火)

18週間にわたるTAFEの英語コースを、先週修了した。コースが始まった頃は、冬の長雨が続くシドニーで、私のホームシックはピークであった。

自己紹介で、「日本が恋しいです。日本は、経済先進国の中で唯一乳がんの死亡率が上昇しているし、望まない妊娠と、それに伴う人工中絶率の高さには問題があり、women’s health issues –女性の健康問題がたくさんあるので、私は助産師として、日本でやり残してきたことがたくさんあります。なので、いつの日か夫を看取ったら、日本に帰ってまた働きます。」と話した。

私の自己紹介を聞いて、在豪歴15年という韓国人のチュンは、大きな声で笑った。さすが、アジアのイタリア人である。「わかる〜その気持ち!私も最初の5年は、ずっと韓国のこと考えていたわよ。」と話してくれた。チュンさんは、マーケットに買い物に行っては、シドニーで電車に乗っては、韓国と比べて文句を言っていたという。それをやめたのは、時々帰省していた韓国に、自分の居場所がないことに気がついた時だという。それからは、シドニーが、自分の住む場所なんだと思って改めて腹をくくったという。

ドイツ人でクロアチア人のアンディは、「こんぶのパートナーさんは、お年を召しているの?何か病気をしているの?」と心配してくれた。そうではなくて、何十年も後の話である、と私は追加で説明した。アンディは、ドイツで産まれたが、両親がクロアチアからの移民だという。ドイツでは、クロアチア人と差別され、成人してからクロアチアで暮らしてこともあったが、そこではドイツ人と差別され、オーストラリアに来て7年、やっとここが自分の母国だと思えるようになって来たという。

在豪2年のエジプト人医師は、「僕も、ひとつの腎臓を売る思いで(日本語だと“断腸の思い”と同義語の例えだろう)、子どもたちの未来のために、ここに移住した。中東で民主的な国なんてないからね、みんな将来を心配しているんだよ。サダムフセイン時代のイラクが独裁国家で、アメリカに攻撃されるなら、中東の国は、みんなアメリカにやられてしまうよ。幸い、資源がない国は、ターゲットにもならないけどね!」と話してくれた。それでも、私と同じ在豪2年、懐かしいエジプトの音楽を聞くと、ほろりと涙が出てしまう、と打ち明けてくれた。

中国人医師で、鍼灸師でもあるアンドリューは、シドニーで鍼灸師としては、10年以上働いているが、今は医師の資格を目指している。日本の鍼治療用の針は、世界一で素晴らしい、日本製以外の針を治療で使用したら、その結果に差がでるから、日本製の針しか使わないと話してくれた。

スリランカ人医師で、アフリカのある地域で、国境なき医師団のメンバーとして働いていたこともあるというシラは、「僕たちのチームに、日本人の産婦人科医がいた。彼女は、英語が苦手だったのか、あまり話はしなかったけど、彼女が行う帝王切開は、とても美しかった。日本人は、手が器用なのだなと思ったよ。」と話してくれた。彼の両親のお家は、スリランカの内戦で破壊されてしまい、今は親戚のうちに住んでいる、早くこちらで医師になって、両親を呼び寄せるのが夢だ、と話してくれた。

みんな自分の体験を話してくれたり、時々日本をもちあげながら、私を慰めてくれた。それが、このコースのスタートだった。その後、同級生たちと、掛け替えのない時間を過ごした。寒いシドニーで、あたたかいクラスメイトたちと出会いだった。


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by gonzalesK | 2010-11-30 13:52 | Life in Sydney

シドニーの青い空と広い海のふもとで繰り広げられる日常をこんぶ風味でお伝えします
by gonzalesK
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