続こんぶの日記 KOMBU's diary from Sydney

12月の満月

2010年12月21日(火)

アルバイト先のNursing Home は、20世紀初期に建てられた洋館で、もともとは地域の医院としての役割を果たしていたという。宗主国の英国の影響を受けたゴシック建築はこじゃれており、その外観からは、ここがNursing Home だとはなかなか思えない。経営的に、半分は公立、半分はキリスト教系の慈善団体による運営である。オーストラリアは、福祉政策が整っているというイメージがあるが、実際は、まだまだいわゆるチャリティなどに頼らざるを得ない現状があるようだ。

町がクリスマスのデコレーションで賑わうようになると、ここのHome でも職員たちがこぞってクリスマスのデコレーションを始めた。大きなクリスマスツリーに、白い壁が赤、金や銀に彩られていく。オーストラリア人にとって、クリスマスは、お正月なんかよりも1年で一番大切なイベントである。

夕方からの勤務に私が入ると、インチャージのナースが、「満月の夜は、荒れるのよね。痴呆症の患者さんたちは、みんな何だか興奮するしね。今日は忙しくなるわよ〜。」と言っていた。どこかで聞いたことのあるセリフだなと思ったら、そうか助産師として働いていたころは、そんなことを言いながら夜勤に入っていたなと改めて思い出した。満月は、何か特殊な光でも放射しているのだろうか。

ナースが予期したように、その日は確かに忙しかった。痴呆症のスミスは休みなく徘徊し、100歳なのに、どこにそんな体力があるのだろうと私たちに思わせるほどであった。大きな身体で青い目、高い鼻で、古い洋館の中をずたずたと歩く姿は迫力がある。106歳のサマンサは、大きく美しい目と高い鼻、腰の曲がり具合など、その容貌から、黒いマントをかけて林檎を持たせたら、絵本の中に出て来る魔法使いのおばあさんそのままである。彼女は寂しがりやで、私たちを呼ぶために10分おきにナースコールを鳴らした。

どんなに忙しくても、終業時間前に仕事が終わるのが、オーストラリア流である。仕事を終えて、私は、今日は本当に満月だったのかなと早速確認してみた。見上げた空には、まんまるな大きな月が、シドニーの街を見下ろしていた。

I wish you a Merry Christmas and a fulfilling and successful year in 2011




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by gonzalesK | 2010-12-30 00:07 | Life in Sydney

シドニーの青い空と広い海のふもとで繰り広げられる日常をこんぶ風味でお伝えします
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