続こんぶの日記 KOMBU's diary from Sydney

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こんぶおばさんの日記

2009年7月28日(火)

老人ホームで働いている看護師の知人から、「赤ちゃんからはエネルギーを与えられるけど、老人にはエネルギーを奪われるよね」と聞いたことがある。そのとき、なるほどなと思って苦笑いをしたのを覚えている。そう言い切った彼女は、一児の母である。

確かに、赤ちゃんはエネルギーの固まりだ。特に、産まれたての赤ちゃんのにおいは、私たち助産師を元気にしてくれる。これを毎日のようにかぐことができるのは、私たちの特権だろう。また多くの助産師は、この“産まれたての赤ちゃんのにおい中毒”に違いない。

産まれたての赤ちゃんのにおいは独特だ。はちみつのような、キャラメルのような、言葉では表せない、でも羊水や血液のにおいではないあまいにおい。それは生後3日目ごろには不思議と消えてしまう。 赤ちゃんが宇宙人から人間らしくなったころに消えてしまうので、あの世とこの世の間の人間しか発せられないにおいなのかもなと思ったこともある。

この赤ちゃんのにおいは、どこから来るのだろうかと夫と話したことがある。わずかな生化学の知識を持つ夫は、赤ちゃんのにおいのもとはATP(アデノシン三リン酸)かもね、とまじめに分析した。確かにATPはエネルギー物質、赤ちゃんからはエネルギーを与えられるわけだ!私は、夫の根拠のないこの仮説を不思議と信じている。

バンコクの夫の家に来てから、私が一番若者、という高齢化の中で2週間過ごして来た。訪ねて来る夫の両親の親戚となると、これもまた高齢だ。こんな環境の中、夫の姉の子どもたちがやって来た。中学生の彼らも十分エネルギーに満ちあふれている。赤ちゃんほど若くはないけれど、やはり若いものはいいなとしみじみと思うこんぶおばさんであった。
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by gonzalesK | 2009-07-29 01:56 | Life in Bangkok | Comments(0)

雨期のバンコクから

2009年7月24日(金)

なぜだか私は、タイと縁が深いと勝手に思っている。

タイの現国王、ラーマ9世と私は誕生日が同じだ。タイ人にそれを話すと喜ばれるので、つい自慢してしまう。タイの王様は働き者で国民から親しまれているから、誕生日には大きな花火もあがる。また、王様のおかあさんは看護師だったそうだ。

20歳のとき、初めて踏んだ海外の地もバンコクだった。そのころはパキスタン航空がマニラ経由で飛んでいた。アルバイトで貯めたお金で格安航空券を購入し、バックパックを背負いバンコクへと向かった。飛行機内で初めて聞いたイスラム教のコーランに合わせて、旅の無事を祈った。

バンコクに初めて降り立ったとき、むっとする独特の熱気と、行き交うトュクトュクの排気ガスのにおいと喧噪に、なぜだか胸が高鳴ったのを覚えている。これを筆頭に、インド、ネパールなどの南アジア、カンボジア、ベトナムやラオスなどの東南アジアの旅の拠点はいつもバンコクだった。

社会人入学した大学から、半年間タイ北部の都市にあるチェンマイ大学に留学した。ここでみっちり勉強したはずのタイ語は、今ではすっかり挨拶程度になってしまった。このときに、タイ西北部のメソットという街にあるビルマ難民のための診療所でインターンをさせてもらった。当初タイといえばカンボジア難民、という印象があった。実はビルマ難民の問題というのが、歴史的、政治的にも経済的にも非常に奥深いものであることを学んだ。

思えばこの大学で、“リプロダクティブ・ヘルス/ライツ”という言葉に出会った。そして、ビルマ難民の診療所で望まない妊娠や性暴力など様々なリプロの問題を抱えている女性たちと出会ったのは本当に衝撃的だった。人権問題は健康問題だと理解せざるを得なかった。リプロと関わっていくのなら、いつか絶対助産師になろう、と思ったのもこのころだった気がする。

それからいろいろあって、もうタイとは関わることはないだろうと思っていた。しかし縁があったのか、出会った人がタイ人で、まさか結婚するとは思わなかった。

“縁とは円である”と誰かから聞いたことがある。そんなことを実感する日が、いつかやって来るのだろうか。バケツをひっくり返したような大きな雨音を聞きながら、そんなことを考えていた。バンコクの雨期はまだ明けそうにない。
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by gonzalesK | 2009-07-25 14:08 | Life in Bangkok | Comments(0)

マザコンばんざい

2009年7月22日(水)

タイのバンコクに来てから、あっという間に1週間が過ぎた。夫のおかあさんの具合が良くないので、二人であわててシドニーからバンコクに飛んで来た。夫は、1週間ほど仕事を休んでおかあさんの看病のためにバンコクに滞在して、シドニーにかえって来たばかりだった。なので、彼は数日シドニーに滞在して、バンコクにとんぼがえりをすることとなった。

夫のおかあさんは、3年前からがんを煩っており、強い抗がん剤を使い始めたため、免疫力が下がってしまい入院が必要となったのだ。おかあさんが大好きな夫は、いてもたってもいられなかったようで、仕事をクビになっても良いから、と無理に長期の休暇を取った。

中国系の夫の母親への愛は、“マザコン”という言葉を超えるものがある。中途半端なマザコンは、世界中で嫌悪されていると思う。しかし、夫ほどになると、反対に見ていて気持ちがよい。夫のおかあさんは、50年前に中国からタイに移住し、一代でビジネスを発展させたパイオニアだった。おかあさんは寝る間も惜しんで、当時の従業員たちと働いていたという。夫につられて、こちらまでそんなおかあさんを素敵な女性と思い、愛情がじわじわとわいてくるのを感じている。

すべての男はマザコンだ、というのは私の持論だ。助産学生のときに、授乳する母親と新生児の姿を見て、両者ともすごく本能的だなと思った。授乳の光景、母親のおっぱいの感触やにおいは、新生児の脳裏に焼き付き、生涯消えることはないような気がする。

授乳室で、「やだ、私の赤ちゃんうちのだんなに似てる!」、「え、うちの赤ちゃんは義理のおとうさんに似ていると思ったの、何かやだ〜」と笑いながら授乳する母親たちはたくましい。その母親は、一生涯むすこに大切にされて当然である。だから、マザコンでもいいじゃないかと思った。

日本の男たちよ、“俺はマザコンだ”と胸を張れ!と激励したい。


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by gonzalesK | 2009-07-25 13:58 | Life in Bangkok | Comments(0)

Fitness First ?

2009年7月2日(木)

オーストラリアに、”Fitness First” という全国展開しているフィットネスクラブがある。私が抱えるITPは自己免疫疾患だ。ここは運動でもして免疫力をあげようと思い立ち、以前から興味のあったヨガやティラピィスのクラスも参加することができる近所の”Fitness First”に通うことにした。

日本で大学院生活をしていたときは、両国から隅田川を超えて大学のある築地まで往復1時間の自転車通学をしていた。「難産に立ち会う助産師は、産婦と同様にフルマラソン並みの体力を消耗している」と言われるように、助産師として働いていた頃は、毎日走り回っていた。シドニーで生活するようになってからは、車社会にもまれ運動という運動をしてこなかった。

ヨガのクラスの前に、トレッドミル(電動走行器?)で有酸素運動をする。トレッドミルが何十台も置いてあり、みんな一生懸命に早足をしていたり、走ったりしている。私が通う時間は昼間なので、そんなに混雑はしていないだろうと思っていたのだが、意外とたくさんの人が運動している。みんな仕事もしないで、昼間から何やっているの?と自分のことを棚にあげて伺いたくなる。

それにしても、きっとマクドナルドの食べ過ぎで太ったに違いないという白人のぶよぶよのおじさんが、一生懸命トレッドミルの上で歩いているのを見ると、なんだか胸が痛む。おじさんもまた文明の被害者であるかもしれないけれど、一方で地球の裏側では、水や食料を得るために、途方も無い距離を歩いている子どもたちもいる。”Fitness First”なんていう名前は、思い上がった“先進国”の人がつけた名前に違いないだろう。food, water, education, sanitation, medication, house, work…..他にもFirstでなければならないものがたくさんあるのになあ、と自分もトレッドミルの上で走りながら、ぐちゃぐちゃ考えていた。

ヨガやティラピスのクラスでは、そのままスポーツ用品の広告に出ていそうな、手足の長い白人のお姉ちゃんたちがさわやかである。一方、ジャージ姿の中国系のだるま体型のおばちゃんたちもたくさん参加していて、安心する。思わず「おばちゃん、一緒にがんばりましょうね!」と声をかけたくなるほどに彼女たちに親近感も湧いて来る。

ヨガやティラピィスは全くの初心者だが、気づいたことがある。鼻から吸ったきれいな酸素を身体の隅々の細胞に届けようと意識することは気持ちよい、ということだ。分娩中に胎児の心音が下がったときに、「鼻から大きな息を吸って下さいね〜。赤ちゃんに酸素を届けてあげましょうね〜。」と言っていた現場に通じるものがあるかもしれない。

また、ヨガやティラピィスでは、ブリッジの体勢や腰を持ち上げる運動が多い。特に女性にとっては、骨盤内の臓器を時々逆さまにすることが何かしら健康にいいのかもしれないと感覚的に思った。

クラスでは波の音など癒し系の音楽をバックに、腹筋や背筋の運動など結構きついことをする。インストラクターが「息を吸って〜、はいて〜」と囁き、ヨガムードは満点だ。腹筋に効果がありそうなポースに取り組んでいたとき、突然“コケコッコー!”という鶏の鳴き声の携帯着信音がクラス中に響き渡り、中国系のおばちゃんが、中国語で大声で話し始めた。それを気にも留めずにインストラクターは、「吸って〜、はいて〜」と繰り返している。何でもありなところがやはりオーストラリアだなと思いながら、私は腹筋をぷるぷるさせていた。
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by gonzalesK | 2009-07-02 22:34 | Life in Sydney

シドニーの青い空と広い海のふもとで繰り広げられる日常をこんぶ風味でお伝えします
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