続こんぶの日記 KOMBU's diary from Sydney

<   2011年 09月 ( 2 )   > この月の画像一覧




西洋コンプレックスからの脱却 

2011年9月23日

(前ページからのつづき)

確かに、オーストラリアでは、研究と実践が結びついているという見方もあると思う。ヘルスプロモーションの分野などでは、特にそうかもしれない。

しかし、看護や助産の分野では、研究の知が実践に生かされているのか、と疑問に感じることもある。大学の先生もアカデミックとしての学問と、現場での実践のギャップがあることを承知であり、「実習中にどんなことで、矛盾を感じたか?」と生徒に議論させている。

会計士の同級生は、「会計学と、現場での実践にギャップがあるって感じたことはなかったなあ。」と言っていた。二人で話をしていて、助産の現場で感じるギャップは、やはり人間を相手にしているのだから、variable な要因がたくさんあって、数字を扱って1と1を足したら2になる、というわけにはいかないのかもね、ということになった。

日本にいたときは、Cochrane library やPub Med を始めとして、英語で文献を検索して記事を読み、それがresearch evidence なんだと洗脳されていたような気がする。そうしているうちに、英語圏の看護や助産は、最先端なんだと感じ、日本での看護や助産にコンプレックスを抱いてしまうのだ。今でも、日本の看護師や助産師で、そう感じている人は少なくないのではないかと思う。

しかし、それは勘違いだったな、ということを最近ひしひしと感じている。英語圏の社会でも、研究と現場での実践のギャップは、今後の大きな課題だし、それは何ら日本の助産界の課題と変わらないと思っている。もしも、留学して看護や助産を勉強する機会があれば、実際にそこの現場に出て、汗を流してみるといいと思う。現場に出ないで勉強だけしていたら、理想の看護論や助産論だけ抱えて、日本に帰ることになる。

西洋コンプレックスから脱却するには、逆説的だけど、やはり英語を勉強して、相手を知ることが必要なのかもしれない。英国でも豪州でも米国でも、研究論文では、「何だかすごい」ことを言っていても、本当のところ現場ではどうなっているのだろう、現場でのケアはたいしたことはないじゃないか、これなら日本のケアの方が、全然いいじゃないか、と思える英語力が必要なのだ。そんな視点から、改めて日本のケアについて、世界に発信してみようと思ったときに、コンプレックスからさよならできるのかもしれない。


追記:写真はMed scape Nursing から引用
http://www.medscape.com/features/nurse-caps?src=stmkt13


b0175015_12231843.jpg
[PR]



by gonzalesK | 2011-09-23 17:08 | Midwifery- 助産

サンプル

2011年9月23日(金)

春の陽気のシドニー、ピンクや紫の花が町を彩り、通りを行き交う人々がくしゃみをする季節。そんな中、国連のある地域事務所で働く友人が、シドニーで開催される学術大会に出席するというので、数日うちに滞在していった。

レストランでご飯を食べながら、学会どうだったのと聞いたら、彼女は、学会はとても良かった、と言っていた。彼女はロンドンの大学院で勉強をしたけど、オーストラリアもリサーチに関してはレベルが高いというのは聞いていて、今回それを実感できたと言っていた。特に、ヘルスプロモーションの分野においては、世界でもトップレベルだから、とても勉強になったよと興奮気味に話をしてくれた。日本だと、プロジェクトの活動報告で終わってしまうところが、きちんとした方法論もあって、こちらでは実践と研究が結びついていると言っていた。

彼女の言うことは、もっともだなと思った。オーストラリアでは政府が、イギリス政府にお金を払って、ここに住む人が自由にresearch evience の集大成と言われるコクランライブラリー(Cochrane library) にアクセスできるようになっている。

Evidence-based midwifery の授業のときに、先生が、「reserach evidence に対して意識が高い妊婦さんは、妊婦外来に、例えば“コクランライブラリーで、継続ケアが良いと読んだけど、ここで継続ケアを受けることができるのか?”って、フォレストプロットの表を持ってやって来る。だから、助産師がresearch evidence に対して意識を高めて、アップデートしておかないと恥ずかしいよ。」と言っていた。それを聞いたときには、そんな妊婦さん、正直やりづらいなと思った。もちろん、いろいろなことに全く無頓着な妊婦さんが、ほとんどなのだけれど。

大学からは、学部生でもほとんどすべてと言ってよいほどの journalのデータベースに無料でアクセスできるようになっている。日本の大学院にいたときは、多くのjournal のデータベースにアクセスできなくて、他の大学へ複写依頼などを出していた。今もそうだとしたら、日本の学生さんたちは大変である。

私たちの大学の先生は、「1年生を対象に、フォーカスグループをしたいから、時間がある人は参加してね。研究費が降りたから、学年の drop-out rate を減少させるためのプロジェクトを開始したいのよ。」と意気込んでいた。私たちの大学の助産学部は、実習の厳しさ(24 hours oncall 7 days a week: 24時間週7日間体制のオンコール)から、脱落率が高いと有名らしい。この間、実習病院であった3年生は、「私たちの学年は、55人で初めて、残っているのは15人だよ。」と言っていた。私たちも、最近あの人見ないね、、なんて会話をすることがある。

そんな理由で、大学側も高い脱落率を何とかしようと、プロジェクトを開始したらしいが、もちろんそれは研究対象で、私たちはサンプルである。


つづく
[PR]



by gonzalesK | 2011-09-23 15:57 | Midwifery- 助産

シドニーの青い空と広い海のふもとで繰り広げられる日常をこんぶ風味でお伝えします
by gonzalesK
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

最新のコメント

kokeko さん!そう..
by gonzalesK at 10:11
あらら、お熱だったの~(..
by kokeko-2015 at 23:09
シドニーの美術館はゆるー..
by gonzalesK at 15:03
どんな絵なのだろうと、調..
by kokeko-2015 at 09:29
こけこさん、なるほど〜k..
by gonzalesK at 17:46
ほぉ。。。(←お友達の言..
by kokeko-2015 at 22:22
こけこさん、コメントあり..
by gonzalesK at 09:42
おはよう(笑) シドニ..
by kokeko-2015 at 23:13

最新の記事

The Year of Ro..
at 2017-02-09 21:21
HIROMI THE TRI..
at 2016-06-16 12:22
花冷え
at 2016-06-01 15:11
あっちの桜、こっちのジャカランタ
at 2016-05-18 21:22
Language of dr..
at 2016-03-15 21:06

画像一覧