続こんぶの日記 KOMBU's diary from Sydney

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金メダリスト in London

2012年7月22日(土)

6月の中旬に大学の秋学期末のテストが終了し、およそ6週間の冬休みに入っていた。そしてあっという間に、来週には春学期が始まる。春と言っても、今年の冬はとても寒くて、 Icey な日が続いている。

6月の初旬には、テストや課題の締め切りが重なった。しかし、早めにテストが終われば、長い休みがとれる!と同級生たちと声をかけあい、何とか乗り切った。特に、今学期のpathophysiology −病態生理学を乗り越えられたのはよかった。この科目では、数回の小テスト、中間テスト、そして最後の期末テストをパスしなければならない。英語についていけなくて、授業中に目を開けたまま、気を失って同級生たちに助けられたことも数回あった。総合的には、主要な疾患を大学の医学系列の先生方が、わかりやすく教えてくれたと思う。漢字が苦手な私にとっては、「絨毛膜絨毛炎」の「絨」の漢字の練習をするよりも、amnionitis-の方がストレートで理解しやすいと思ったこともあった。

冬休みの日程が確定して、今回のホリデーは、「おねえさんのロンドンの家に行きたがっているおとうさんを、ロンドンに連れて行こうか」ということになった。私の100倍くらい親思いの夫は、「おとうさんが元気なうちに、おねえさんのいるロンドンに連れて行きたい。」と強い使命感をここ何年か抱いていた。しかし、私も大学があるし、肝心なおねえさんも忙しそうだし、おとうさんが風邪でもひいたら大変だから冬は避けたい、というのもあり、タイミングがあわず、見送りになっていた。

しかし、ついに夫とバンコクでおとうさんをピックアップし、ロンドンでの珍道中が始まった。私が全然気が利かないタイプなのと対照的に、夫のおとうさんへの愛情や気遣いが、道中すごく光っていた。バンコクでは、知り合いのコネを使って、バンコク−ロンドンのフライトのチケットを(おとうさんだけ)ビジネスクラスにアップグレードしてもらえるように根回しし、ロンドン空港では、車いすを使っておとうさんを運んでくれるポーターさんを手配していた。

観光の移動には、地下鉄にエスカレーターがなかったらタクシーをよんで、おとうさんの薬の時間があるから、3食定期的に食べれるように気を使って、外食するときには、おいしい中華レストランを探して、観光スポットでは、おとうさんの肖像写真をたくさん撮ってお土産を買って、おとうさんがベンチに座る前には、そのベンチのほこりをはらってあげて。。。すごいぞ、夫、と旅の最中に何度も思った。街は、ロンドン・オリンピックの開催に関して冷ややかな雰囲気が漂っていたものの、オリンピックに「親孝行の部」があったら、間違いなく、この人が金メダルを取るだろうと思った。

私は、と言えば、、、ロンドンの暑い日に、飲茶を食べながら(飲茶にはジャスミンティーという暗黙のお決まりを破って)ビールを注文して「え?」という顔をされる始末。パリでロンドンに帰るユーロスターを待っていたときに、「列車の中でランチができるように、サンドイッチを買って来るね。」と、パリなだけに、私はフランスパンのサンドイッチを3人分何の疑いもなく購入した。いざ、車窓の風景を楽しみながら、みんなでサンドイッチを食べようとしたら、「こんぶ、(入れ歯の)ダディにはこのパン、固すぎるよ。。。」と苦笑いの夫とおとうさんに、自己嫌悪する私。

夫は、何も特別なことをしているわけではなくて、息子としてあたりまえのことをしているだけだよ、と言う。それは、そうなのかもしれないけれども、真の思いやりとは、相手を心の底からケアすることを言うのだな、と今更ながらに学んだ旅であった。


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by gonzalesK | 2012-07-22 01:06 | Holidays

Blood, Sweat and T shirts- 血と汗とTシャツ

2010年5月26日(水)


日本のNHKのような、ABC(Australian Broad Cast; オーストラリア国営放送)では、質の良いドキュメンタリー番組をたまに放送している。その多くは、BBCのものなのだけれども。

ヨーロッパに旅立つ前に、“Blood, Sweat and T shirts- 血と汗とTシャツ”という3週間続きのBBCのドキュメンタリーを見た。これは、“fashion addicts; ファッション中毒”のロンドンの若者たちが、そのファッションの主な生産地のひとつであるインドを旅し、実際にファッション工場や綿花農家などで働き、その労働の過酷さを知るという話である。

ファッションをこよなく愛するロンドンっこたちが、生産現場の現実を目の当たりにする。一日中ミシンに向き合い、シャツを縫う針子の日当は100円以下、綿花畑で綿花を積む女性の日当は、それ以下。それでも、子どもや家族のために黙々と働くデリーやムンバイの労働者たち。あるスラムには有名ブランドの闇工場があり、そこでは、10歳にも満たない多くの子どもたちが働いている。そして、それらのほとんどは、イギリスなど(もちろん日本も)の“先進”国に送られる。

その“旅”に参加したある若者は、child labor(児童労働)の問題に目覚め、ロンドンに帰国後Child labor の啓発活動を行っていた。ある若者は、家族の大切さを改めて思い直し、壊れかけていた自分の家族の絆を修復しようと試みる。ある若者は、fair trade (フェアトレード)の重要性に目覚め、生産国を記載しない衣料品のメーカーに、生産過程について公開することを求める。

番組では、fast fashion(ファーストファッション), disposable clothes (使い捨ての洋服)が現在のファッション界を支配しており、生産地の労働者である経済発展途上国の人々は、不当に搾取されている、fashion without victims- 被害者なきファッション- は可能なのか と消費者に問いていた。

私はロンドン滞在中、この番組のことを思い出していた。Oxford Street などの繁華街に出ると、みんながショッピングバックを持って、買い物を楽しんでいる。もれなく私もその一人である。ロンドン在住の夫のおねえさんは、「私は高価で良質なものか、安くて良質なもののどちらかしか買わない」と公言しているが、私には安くて良質なロンドンのお店を教えてくれる。

そのひとつは、"PRIMARK "というブランドのお店である。これは、ユニクロよりもう少しおしゃれで、しかも価格はユニクロ以下(質の良いTシャツは2ポンド、300円くらい)、という感じの店であり、ロンドンの歩く女性たちの3人に1人は、ここのショッピングバックを持っていた。おねえさんは、PRADAのダウンジャケットの下に、ここのTシャツを着て、価格差コーディネートを楽しんでいるようだった。

確かに、PRIMARKのTシャツに、原産国の記載はなかった。倫理的にどうなのか?と思っても、物欲に負けて、つい購入してしまう私。なさけない。おねえさんは、「ここは児童労働をさせているってイギリス中で批判されていて、ボイコット運動も起きているよ。でもつい買ってしまうのよね。」と言っていた。ボイコット運動、といってもお店はバーゲンの時のように混雑している。

経済開発国の問題は、経済先進国の問題である、というのは承知している。構造的な搾取の問題であり、先進国が途上国を経済的に支配し、SUCK しているので、途上国は豊かにならないようにできているのだ。先進国が変わらなければ、南北問題は何も変わらない。。。それはわかっている。ロンドンの国会議事堂前では、デモを行っているテントがたくさんあって、その中のひとつが、“Capitalism isn't working! ; 資本主義は機能しない!”という弾幕があり、はっとした。

それを見て頭では、そうだよな、その思想は理解できる、と思いながらも、足はOxford street に向かってしまう私がいた。





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by gonzalesK | 2010-06-22 16:59 | Holidays

フローレンス・ナイチンゲール その2

2010年5月25日(火)つづき


ナイチンゲール博物館では、彼女の生涯を遺品などを中心に紹介、説明していた。ナイチンゲールを有名にしたのは、クリミア戦争である。クリミア戦争へのナース派遣要請を受けたナイチンゲールは、これまで社会的地位が確立していなかったナースの存在を、イギリス社会に知らしめる良い機会だと捉えたという。38名の勇気あるナースたちと現地に赴いたナイチンゲールは、兵士の高い死亡率を下げること、負傷した兵士を一番良い状態で母国に帰還させることに焦点を当てた。

彼女は、アルコールとドラッグが兵士の高い死亡率に寄与していると問題を把握し、彼らがお金をそれらに使う代わりに、母国に送金できるシステムを整えたり、読書をしたり、家族に手紙を書く図書館を設立したりした。そうすることで、兵士たちのアルコール中毒とそれに関する疾病の割合は、大幅に低下したという。

また、The Times のジャーナリストを介して衛生物資を国に要請したりしたのは、ロンドンのお上に要請を無視されないためだった。彼女の献身的な取り組みで、兵士の死亡率は90%も低下したという。また、彼女は、統計学の先駆者としても有名である。極端なメモ魔で、膨大な記録や記述を残し、それを分析し死亡率や罹患率の統計を出した。彼女は、統計を出すことで「神様の御心が読める」と語っていたという。

また同時に彼女は、フェミニズムの思想ももちあわせていた。当時の女性の地位を嘆き、家父長制(patriarchy)と家族制度に、早々に反発の意を表している。ナイチンゲールが看護の発展に力を注いだのは、家父長を筆頭とする家族から、女性を解放するためでもあったという見解(*)がある。

一方、そのナースが1世紀にも渡って、医師をトップとしたヒエラルキー下におかれている現象は、何とも皮肉である。博物館に設置されたビデオで、セントトーマス病院の現ナースが、「現在でも世界中でナースの地位は、医師を筆頭にした“家父長制”に支配されたままであるー。ナースは、そこから独立する時である。」と語っていた。

ナイチンゲール没後から100年あまり、今の看護界の現状を、彼女は天国からどのように“分析”しているのだろうか。いつの日か、あって聞いてみたいものだ。


*フローレンス・ナイチンゲール著 真理の探究 マイケルDカラブリア他編著 小林章夫監訳 うぶすな書房 2005年.



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by gonzalesK | 2010-06-18 20:44 | Holidays

フローレンス・ナイチンゲール その1

2010年5月25日(火)

パリのあとにロンドンを訪問した。ロンドンというと、天気が悪くうつ病の人が多い街、というイメージがあるが、幸い滞在中は晴天が続いた。パリに比べてると何かと合理的な街という印象があるが、人々の話すBritish English accent (イギリス英語)やFish and chips、ミュージカルなどを堪能したり、ロンドン滞在を楽しんだ。

夫が、ヘンデル博物館に行っている間、“クラッシック音楽イコール催眠剤”の私は、ナイチンゲール博物館に行って来た。テムズ河にかかるウェストミンスター橋を渡り、セントトーマス病院に入る。世界で初めての看護学校が、ここで創設されたはず・・・とあやしい記憶をたどった。

病院は、大学病院のように大きかったので、ペンキの桶を運んでいた作業員らしきおじさんに、博物館の場所を訪ねた。そうしたら、おじさんは、わざわざ博物館まで私を連れて行ってくれた。ここの病院は、世界でも有名ですよね、私は日本から来ました、と挨拶をしたら、おじさんは少し誇り高そうに笑ってくれた。

博物館は、病院の隅っこにひっそりと建っていた。入館料を支払うと、聴診器の形をした音声ガイドを貸してくれる。中に入ると、想像していたよりもたくさんの人がいた。みんなが聴診器をつけているので、へんな風景でもある。ナイチンゲールは、生涯に渡って公衆衛生の改善と近代看護の発展に力を注いだ。"Nursing is an art; 看護は芸術である”という言葉は有名である。

ナイチンゲールと言えば、ナイチンゲール誓詞である。私が看護学生の時には、戴帽式というのがあった。初めての看護実習を終えて、看護師を志すことを改めて決意した学生たちが、先生たちからナースキャップを受け取るのである。ナイチンゲールがランプを持って夜な夜な病室を回ったということから、その式でもろうそくが灯され厳粛な雰囲気であった。今でこそ、ナースキャップは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の温床だと廃止されているが、あの当時は、ナースキャップは、ナースの象徴だったのだ。

そうして、無事にナースキャップを受け取った後に、ナイチンゲール誓詞「病める人々のために、我はその身を生涯看護に捧げん・・・。」のようなことを皆で誓う。当時アルバイトで忙しかった私は、その長い誓詞を式までに暗記できなくて、口ぱくで臨んだ。隣に立った友人に「こんぶは口ぱくだったでしょ。」とばれて、冷や汗をかいたのを今でも覚えている。

つづく



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by gonzalesK | 2010-06-18 18:45 | Holidays

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